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デジタル広告新時代。 規制強化とAI技術の進化で変貌するアフィリエイト市場、 未来に向けた新たな成長戦略
〜バレットグループ、「アフィリエイト市場に関する2024年の総括と2025年の展望」を発表〜
ASPサービス「SLVRbullet(シルバーバレット)」を提供するバレットグループ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:小方 厚、以下バレットグループ)は、「アフィリエイト市場に関する2024年の総括と2025年の展望」について発表いたしましたので、お知らせいたします。
■2024年もアフィリエイト市場は拡大 規制強化で業界の新陳代謝も
2024年のアフィリエイト市場は、インターネット広告全体の成長と歩調を合わせ、堅調に市場を拡大させました。特に、金融と不動産分野で顕著な成長が見られました。これを後押ししたのが、新NISA制度の開始や不動産価格の高騰です。
インターネット広告運用を手掛ける媒体社は、行政による規制強化の影響を受け明暗が分かれる局面を迎えました。誇大広告などへの罰則が強化されただけでなく、Meta社などプラットフォーム側に対しても、違反広告を掲出する企業の監視を徹底するよう呼びかけました。それにより、各プラットフォームも広告掲載基準を厳格化。AIを活用した広告審査の自動化も進み、誤認につながる広告表現が厳しく制限されました。その影響で、市場には一定の新陳代謝が起こり、法を逸脱した広告表現に頼っていた媒体社は淘汰されつつあります。一方で、かねてよりコンプライアンスを遵守しながら効果的な広告運用スキルを研鑽してきた事業者にとっては、確かな追い風となりました。この潮流はアフィリエイト市場の持続的な発展に寄与するものとして、非常にポジティブなものと捉えられます。
マーケティング業界で重要課題となっている「Cookieレス化」については、引き続き延期となっています。しかし、長期的には避けられない流れとなっていることも事実です。実際に、iOSのSafariではすでに広告ブロック機能が実装されています。今後、この機能が拡張していくことで、従来のマーケティング戦略の根本的な見直しが必要となってきます。各事業者は、戦略立案から最新の広告運用トレンドの把握、そして技術的な側面も含めた包括的なサポート体制を提供し、変化していく業界を広告主とともに伴走していく必要があるでしょう。
■広告市場を変革するAI 2024年に見えた光と影
2024年は、広告マーケットにおいてAIが大きく躍進した一年でした。ポジティブな側面として、広告のターゲティング精度向上が挙げられます。例えば、Meta広告などでは、AIに適切なデータを提供することで、最適なターゲット層に、より正確に広告を届けることが可能となりました。
また、ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)の発展も、広告制作の過程に著しく影響を与えました。人の琴線に触れる広告文の作成は、依然として人間の得意領域として残っていますが、そのアイデアの源泉としてLLMを活用することは、もはやマーケターの標準的なスキルとなっています。
さらに、不正対策においても、固有の成果識別情報の監視や海外IPの制限、不正ユーザーを判別するためのIP・デバイス重複の制御機能、独自のブラックリストを活用した成果判定ロジックの導入など、さまざまな施策を各社が実施しています。ここでもAIが活用され、不正パターンを学習したAIが異常値を検知し、対象データを迅速に抽出する仕組みが導入されています。これらの技術は、オペレーターや開発チームによる定期的な監視と組み合わせることで、より高精度な不正防止策を可能にしています。
一方、ネガティブな側面として、AI による広告審査における課題があります。特に問題となったのは、適切な広告までもが誤って排除されてしまうケースです。この要因は、AIが不適切なコンテンツと正当な広告を混同してしまうことにあります。各プラットフォームはこの問題に対応するため、AIの特性やロジックを理解し、適切なデータを学習させる必要が出てきました。
■2025年のAIによる広告革新 データ活用の高度化とプライバシー保護の両立へ
2025年に向けて大きな進展が期待されているのが、暗号化やハッシュ化によるデータの安全な共有方法の確立です。そもそも、デジタルマーケティングの根本的なニーズは、低コストで質の高いユーザーを効率的に獲得することにあります。AIによるターゲティング精度の向上は、このニーズに応える重要な要素となっています。しかし、現状では「質の高いユーザー」の定義と判断に課題があります。それにより、短期的な顧客の継続率は測定できるものの、長期的な顧客維持の予測については、まだ属人的な判断に頼らざるを得ない状況となっています。
この課題に対して、データ連携による解決が模索されています。例えば、ECカートを運営する企業が保有する顧客の購買データは、精度の高いターゲティングに非常に有用です。個人情報保護を厳格化したうえで、どのようにプラットフォーマーとデータ連携していくかが広告運用効率を向上させるための鍵になっていくと考えられます。
生成AIの活用に関しては、すでに業界のスタンダードとなりつつあります。実在の人物を起用し撮影から行う必要があった従来の工程と比較し、飛躍的にコンテンツ制作にかかる時間・人的リソース・コストの削減に繋がりました。また、著作権フリーの素材を活用することも業界の通例でしたが、あくまで限られた選択肢の中からイメージに近しいものを選び取るしかなく、コンテンツの幅が制限されていました。生成AIの発展は、より自由度の高いコンテンツ生成を可能にし、広告展開における戦略の幅を広げました。
一方で、生成AIを状況や目的に応じて適切に活用するスキルも重要です。優れた広告クリエイティブは独自性が不可欠であり、個々のインスピレーションや創意工夫によってAIが提案するアイデアをブラッシュアップする必要があります。
また、テクノロジーの発展に伴い、不正手法もますます高度化していくことが予想されるなか、リアルタイムで成果状況を確認できる環境を整備すると同時に、不正対策をさらに徹底する必要があります。トレンドに応じた対策技術のアップデートはもちろん、人とテクノロジーを駆使することで急激な挙動変化に伴う閾値監視や不正検知などが進む体制構築が求められるでしょう。
■広告プラットフォームの新潮流 既存企業の進化と新興勢力の台頭
大手企業による、広告ソリューションの展開が加速しています。特にファーストパーティデータを豊富に持つ企業が、それを活用した広告サービスを生み出し始めています。例えば、みずほ銀行はサイバーエージェントと共同で広告ソリューションを開発し、顧客の年収や利用履歴、投資行動などの詳細なデータを活用した広告配信を行っています。この傾向は、今後さらに拡大すると予想されています。
新興プラットフォームの台頭も注目されています。特に中国資本による日本市場への進出が活発化しており、ショートドラマアプリなどの新しいフォーマットが登場しています。これらの企業は、日本企業には難しい大規模な投資を行い、市場開拓を図っています。
■プライベートASPの導入とBPaaSの可能性
2024年に躍進したマーケティング手法の一つが、プライベートASPシステムの導入です。通常、広告主は広告代理店やASPに商品の広告運用を依頼し、新規顧客の獲得を目指してきました。この仕組みでは、ASPがアフィリエイターと連携して広告主の目標達成に向けて広告運用を行います。
このモデルには、広告代理店やASPに業務を委託することによって、広告主側の業務負担を軽減できるというメリットがある一方、仲介手数料が発生することや、アフィリエイターと直接コミュニケーションが取れず広告代理店やASPのような仲介業者を信頼するしかないというデメリットも存在します。その結果、多くの企業がインハウス化に関心を寄せるようになり、社内への知見蓄積や手数料削減などを目的にプライベートASPの導入が加速しています。
例えば、掲載内容の確認や管理画面の操作といった日常業務を、広告主側のリソースで対応するよりも、BPO的に外部リソースを活用する方が効率的かつリーズナブルなケースもあります。このような伴走型支援は、単なるシステム提供を超えて、実際の業務フローに最適化した形でのサービス提供を可能にします。
当社でも、プライベートASPシステムの導入支援に加え、インハウス運用をサポートする専門チームの提供や、業務プロセス全体を効率化するBPaaSソリューションの展開を強化しています。マーケティング手法の変化や、企業のリソース最適化への期待が高まる中、プライベートASPとBPaaSの融合は、これからのアフィリエイト広告市場を支える重要なトレンドとなるでしょう。
■広告ビジネスの構造改革 透明性と効率性を追求する新モデルへ
2025年への展望として、特に注目すべきは、広告主とインターネットの関係性の変化です。現在は、広告主が代理店に固定の年間広告予算を委託し、運用をすべて任せるというケースが一般的です。この従来型のモデルでは、KPI達成の成否に関わらず固定費用が発生することになります。加えて、広告主のマーケティング担当者も、期首に策定した年間の広告予算を使い切ることが、ある種の目標になっているという実情があります。そのため、KPIから大きく逸脱した数値感になっていたとしても、期末に予算消化のため仕方なく配信強化されている広告が散見されます。
これに対し、近年広告主からの注目度を高めているのが、成果報酬型の広告運用です。この方式では、広告主にとってリスクが低いだけでなく、より効率的な広告運用が可能となります。また、広告のコンテンツや運用の質が低く、KPIを達成できなければ、そのリスクは代理店側が負うことになります。そのような状況が、より洗練された広告コンテンツと、より深い運用ノウハウの醸成に繋がると考えられます。
このような変化の背景には、広告業界における規制やガイドラインの強化があり、より透明性の高いビジネス構造が求められているという事情があります。2025年に向けて、このようなビジネスモデルの変革がさらに加速すると予想され、広告代理店やASPは広告主とより密接に連携しながら、効率的な広告運用を実現する新しい形が主流になっていく可能性が高いと考えられます。今後もその立場を超えて、広告主のマーケティングチームの一員として深く関与しながら、KPI達成に伴走する機会が増えていくでしょう。
■ 筆者プロフィール
バレットグループ株式会社 取締役 COO
大﨑 亮(Ryo Ohsaki)
新卒でUSENに入社。マーケティングエージェンシーを経て、2013年バレットグループに創業メンバーとしてジョイン。マーケティング管掌として、一貫して広告主の解題解決、パフォーマンス最大化を図るチームの組織化、競争力アップを牽引。現在は、デジタルマーケティングカンパニーのCompany Presidentを務める。
■「SLVRbullet」について
「SLVRbullet」はバレットグループが提供するASPサービスです。高度な分析基盤とシステムの可用性、可搬性を備えたプロダクトとして年間取扱高は100億円を超えるなど、10年以上の運営実績を有します。
バレッドグループでは、「SLVRbullet」の技術基盤を活用し、機能やシステムのパッケージ化に加え、クライアントの要望や課題、求められるスペックや運営形態に合わせて柔軟にカスタマイズ・開発したサービスのOEM提供も行っています。サービス納品後も保守運用や機能アップデート対応、効果計測環境の変化に対応するR&D成果のフィードバックを行うことが特長です。
また、プライバシー保護の観点から動きが活発化している最新のITP(トラッキング防止機能)にも対応し、Cookieに依存しないセッション方式での動的タグなど、多数の効果計測機能から要望に合わせたCV計測方法を提案しています。
さらに、一般的なASPサービスに加えて、自社の広告運用チームを組織していることも強みの1つです。広告表現の規制強化にも適応した上で、クライアントのKPI達成に貢献することが可能です。また、これまでの膨大な運用データを基に、よりマーケットに即した商品設計・サービス設計から提案を行い、競争力を高めるための伴走をしてまいります。